関門トンネル見学会(今後の維持管理を考える)

訪問 2025年11月3日
作成 2025年12月28日


関門トンネルは、目に見える見えない関係なくガタが来ている。

参考リンク:関門トンネルにおける現状と今後の維持管理について(西日本高速道路)

 例の関門トンネルは、最初の開通から半世紀以上が経過し、海底トンネルという水圧・重圧が掛かる性質も含め、あちこちでガタが来ている。あまりに特殊すぎる関門海峡の地下道を、どのようにして維持管理しているのかを考えてもらうべく、NEXCO西日本が不定期で見学・説明会を実施しており、今回はその見学会に参加できる運びとなったので、ざっと説明していく。

関門トンネルの裏側へ

送風機・排風機


下関側の人道トンネル入口の脇に設けられた管理施設へ。

 下関側・みもすそ川公園の隣にある人道トンネルそばの博物館で、事業概要を含めた説明を聞いた後、作業現場で使われる公式ヘルメットを装着し、いざ内部へ。

 人道トンネル入口の隣にあるビルのような建物には、車道からの排気ガスを排出し、外からの空気をトンネル内に入れる巨大な送風機・排風機が設けられている。それぞれ3基ずつあるものの、普段は2基のみ稼働しており、残る1基は予備用。職員による説明が終わるや否や、スイッチが入って爆音が施設内に響き渡るので、おおっ!と感じた。


排出機能に特化した排風機。普段は3基あるうちの2基を稼働させる。


送風機・排風機は日立製作所製造の特注品


排風機の隣に送風機がある。やはり日立製作所による特注品。


送風機・排風機の中間部にあるコレは、最終的には車道に繋がる。

 送風機・排風機ともに、1基だけではロクに風を送り込めないため、稼働が完全に止まってしまうと短時間で煙が蔓延する。関門トンネルの場合は、地上から60メートル以上あるため、こうした設備は強力なもので無ければ送風・排出が出来ないため、コストが嵩んでしまう。また、これらの施設を含めた立坑は、昭和時代からのモノを続投させていることもあり、施設自体もかなりガタが来ているように見えた。

パイロットトンネル(水抜立坑)

 今の関門トンネルを作る前、調査目的で素掘りした小さいトンネルが、本線のすぐ隣に設けられているという事実は、あまり知られていない(通称「パイロットトンネル」)。開通した後、調査目的で作られたパイロットトンネルは、そのまま非常通路も兼ねた公団・NEXCOの管理用施設に転換され、排水・電気設備などを設置して、車道・人道の維持管理に使われている。エレベーターしかパイロットトンネル内へ進入する手段がなく、相当地下にあることもあり、移動だけで5分近くも掛かる。

 調査目的で掘ったため、パイロットトンネル内はとにかく天井が低い。高身長の人には厳しいかもしれない。脇には排水管や複数の電気ケーブルが敷かれ、普段目にする車道・人道とは違った独特の空間を体験できる。


送風・排風機の話が終わった後、職員に誘導されて、小さめのトンネルへ。


下関水抜き立坑専用のトンネル(地上に戻るには、コレしか手段がない)


エレベーター近くから水抜き装置までは、しゃがまずともどうにか行ける。


排水管からはポタポタと水が溢れている。

 パイロットトンネルで、海底と地上の境目付近に、下関・門司それぞれ1箇所ずつと、中間点に水抜きポンプがそれぞれ設置されている。メインは中間部だが、今回はそこまで行かなかった(行くと凄く時間が掛かる上、あまりにも天井が低すぎて不安定なのもある)。水抜きポンプの稼働が完全に止まってしまうと、僅か2~3時間でトンネル内が冠水してしまうらしいため、説明が終わるや否や、稼働を再開すると猛烈な勢いで水の抜き出しに掛かる。24時間365日ず~っと稼働しているってことを考えると、水際作戦がしっかり働き、トンネル内を安心して移動できるのも納得ですね。

 ちなみに、排水ポンプは17台あるうちの6台は更新しているが、残りは旧式のまま。また、清潔に稼働するべく、定期的に分解清掃する必要があり、これまでやると気の遠くなる維持管理が必要になってくるとのこと。


水抜きポンプは、両端部では3基ずつ、中央部は更にたくさん設置。
稼働が止まると短時間で水没するらしい。


みなさんコレが一番興味あったようで。

 で、その中央部に向かう通路はというと、先程以上に天井が非常に低くなる上、素掘り時代のものをほぼそのまま流用していること、更には非常時以外は必要最小限の範囲で管理というのもあり、かな~り視界が悪く、歩かれている方も結構な割合で頭突きを繰り返されてました……


天井低すぎない?


至る所から海水が漏れ出している。
パイロットトンネルなのでご愛敬だが、これが本線なら大変なことに。


所々に海水を流すミニ河川があり、洒落にならないほどの大量の海水が流れる。


一定間隔で車道に戻れる穴があり、そこから見える大量の車両行き来は、なかなか感銘深い所があった。


どうも~!パイロットトンネルですよ~

関門トンネルの課題

 これまでの流れも含め、現状と課題をまとめると、

 こうした話が職員の方から説明があった。


ボロトンネルへの対策に、今の通行料で「まともに維持できるのか?」

NEXCO西日本が実施する今後のお題目

短期・中長期で考えるべきこと


別の所にも穴を掘りたい

 短期的には通行料見直しで維持管理費を確実に調達し、それでいて設備更新を出来るだけ速やかに行うことは必須。加えて、料金所待ちの問題や、対面分離対策(はみ出し予防・LED蛍光灯への置き換えで照明度アップなど)も適切に行うことは大事かな。

 一方、中長期的には、今の関門海峡に偏った道路交通を是正する取り組みも必要。下関北九州道路で、ようやく彦島⇔日明経由の吊り橋が具象化されつつあるが、それだけでは不十分。防衛・リダンダンシーといった「次の世代」も含め、違うところにも関門トンネルを掘って、リスク分散を図るための下地を作ることも大事ですよ。

関門トンネル

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