もしも有明海沿岸道路が「完全な形」で繋がった時、あのフェリーはどうなる?
作成 2019年6月15日
有沿道が一つに繋がっても、有明フェリーへの影響は小さい?
もしも有沿道が完全な形(完成4車線・時速80キロ)で開通した時、長州港~多比良港の区間を運行する有明フェリーはどうなってしまうのか?という疑問が残る。
有明フェリー(Wikipediaより引用)
長州港と多比良港を結ぶ有明フェリーは、それぞれの港から同時に発着するものの、繁忙期の場合は朝方を中心に多比良発を増発し、逆に夕方は長州港発を増発する形でお互いをフォローし合う。朝が多比良・夕方が長州というのを見ると、島原の人たちは長崎もさることながら、対岸の大牟田・荒尾といった熊本県・福岡県筑後地方志向で物事を見ているのがよく分かる。そちらの方が経済的に恵まれていると思っているからだろう。
有明海沿岸道路は、今の計画では熊本県荒尾市から福岡県筑後地方・佐賀市を経由して、佐賀県鹿島市に至る構図になっているが、熊本県側では「第2期」と称して熊本市西区まで延伸した上で熊本天草幹線道路との接続を試みる案もある。一方、佐賀県側も鹿島市で終点とはなっているが、長崎道と何らかの形で接続を要望する声もあることから、必ずしも祐徳さんで終点にするつもりは無い様子。
そうなると、鹿島市~多比良港までの区間を自動車専用道路で結ぶとして、途中の諫早湾干拓事業道路(堤防道路)を現道活用として流用しつつ、島原半島では島原道路(がまだすロード)で連絡すると仮定した場合、果たしてどうなるのか?という疑問が浮かんでくる。
有明海沿岸道路を延伸(堤防道路・島原道路を現道活用)した場合と、有明フェリー経由、それぞれの移動時間
有沿道(長州港~堤防道路入口)までの所要時間が、ざっくりと計算して70分。堤防道路は時速50キロ規制だが、実際の旅行速度はこれを上回って時速約60キロで流れていることから、約10分。島原道路も多比良港までは約10分程度の時間とみているため、合計すると約90分(つまり、約1時間半)となる。これだけで見ると有明フェリーの「最短45分」には到底叶わない結果になるのだが、フェリーには下記の要素が含まれていない。
これらを勘案すると、フェリーで移動する時間は45分であっても、実際には次の便が来るまでの待機時間(最大55分)と乗船手続き・下船手続き(どれもだいたい15分程度は掛かる)をプラスすれば最大120分程度となり、実感としては約2時間未満も掛かってしまう。つまり、フェリーだろうが有沿道+堤防道路+がまだすロード経由だろうが、結局は思った以上の時間短縮効果は期待できず、フェリーを経由した場合で最も運良く乗船・移動・下船できた場合の所要時間と殆ど変わらないと思った方がよいだろう。
有沿道が完全な形で完成したとしても、すぐさま有明フェリーに影響を及ぼす可能性は低く、どちらかが不通になった時の代替手段という程度の認識で様子を見た方が良さそうだ。
もっとも、フェリーの方が確実に早いと言いきれるのは、長州港周辺(長洲・玉名・熊本市北部・大牟田・柳川・八女筑後)及び多比良港(島原・雲仙・南島原・諫早・東長崎地区)のユーザーに限定される。特に有沿道経由の方が最も確実に最短で移動できるのは佐賀市と大川・久留米に住んでいるユーザー層だろう。この地域は最も長州港・多比良港から離れており、どの経路から向かうにしても効率が大変悪い。有沿道の整備で意外と恩恵を受けるのは、ある意味、佐賀市なのかもしれない。
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