新山口~宇部の山陽道新設はどうするべきか

作成 2018年9月27日


山陽自動車道、新設工事に期待しますか?それとも、現状維持で我慢しますか?

概要

 現在、山陽自動車道は兵庫県神戸市にある神戸JCTから、山口県山口市にある山口JCTまでの部分が「本線」として開業している。これとは別に、宇部市と下関市を結ぶ「宇部下関線」と呼ばれる盲腸線が独自に運用されているが、本線と宇部下関線を結ぶ、山口市付近~宇部JCTまでの部分は、別の道路で迂回することで対処しており、完全に一本化していないのが現状である。

 山口JCTがある場所は、旧・小郡町との境目に限りなく近い場所にあり、かなり政治的な理由からその地に接続させた公算が大きいとみている。もしかしたら、JR山陽線の中心駅騒動(旧・小郡駅と山口駅の誘致問題)を、高速道路でも引きずっていないかと首を傾げてしまう。 

もし作るなら?

 現在の中国道経由では急カーブ・急傾斜に伴う事故が多発していることや、冬場になると積雪・凍結に伴うタイヤ規制などが発生しやすく、通行に難を要する。こうした中国道乗り換えを、現在の山口市から下関市に「移転」させる場合、どのような形であるべきかを「比較材料」として用意する。


3つ用意している。「どれが正解」ではないので、よく考えてみて下さい。

[A]防府~宇部新設

 防府市にある佐波川SAの手前に本線と中国道へ向かう支線(いわゆる、旧・山陽道)を分岐させ、そこから山口市秋穂地区・阿知須地区を経由して、宇部JCTと接続する形態である。秋穂・阿知須は元々、山口市の郊外という位置づけだったが、2003年の市町村合併で一応、山口市に編入されたことから、法律上の要件である「通過地・山口市」の条件は満たしている。

 難所となるのは大道山トンネルの建設と、山口湾を通過する周防大橋の別線建設、それに宇部JCTの大規模改築工事と、下関JCTまでの4車線化事業となる。これだけ見れば工事費が鰻登りに見えるものの、後述の「小郡バイパス活用+新設」に比べれば、面倒くさい手続きをとる必要が薄れるため、相対的には安上がりで済む。また、工事期間中であっても、車線切り替えなどが必要になる以外は中国道で迂回すれば良いため、一番現実的な案として「有力」だろう。

 難点は山口市中心部からもさることながら、新山口からも相当の距離があること。道の駅きららあじす付近にインターチェンジを整備し、そこで接続する県道212号を北上すれば、一応は新山口へ直行できるものの、それでも約15分程度と決して「最寄り」のICとは程遠い。

長所:

留意点:


最初から最後まで時速100キロでの走向が担保されるため、移動時間の短縮という側面で考えれば、断然「A」案。でも、それを行う以上、お値段も相応に掛かります。

[B]小郡バイパス現道活用+新設案

 防府JCTで分岐するところまでは同じだが、その後は国道2号のすぐ隣に高速自動車国道(自動車専用道路)を整備し、山口南IC~嘉川ICまでは既存の小郡バイパスを流用。嘉川ICから再び高速自動車国道を整備し、小野田IC付近に本線・宇部下関線を合流させて終点の下関まで向かうという方法である。

 国道2号の現道流用だけでなく、沿線に最も近い場所を通過するため、A案よりかは無難である。また、新山口駅に近く、そこから山口県庁へ向かうにも最短で向かえるコースとなっている。県庁・山口市が完全な素通りポイントになるのを防げるため、地域振興が行いやすいというメリットはある。

 一方、元々無料である小郡バイパスを「有料化」することになるため、山陽道を使わない利用者からも反発の声が予想されるほか、そもそも小郡バイパスは設計速度が時速80キロとなっていることから、窮屈感のある道路であるのが難点。もしも有料化する場合は、防府バイパス同様に「側道部」の建設が必要になるほか、嘉川IC~小野田までは別線を整備するための法律修正が別件で求められる。

長所:

留意点:


正直、デメリットの方が多い案だが、一方では新山口・山口市街に最も近いことから、短期・中長期的に見れば山口市中心部・新山口地区の経済活性化に期待できる側面もある。あなたはどう思う?

[C]中国道現道活用案

 現在ある宇部下関線は「下関自動車道」と名称変更した上で、山口~宇部の山陽道を事実上、完全に白紙撤回。その代わり、現行の中国道をさらに快適に走行できるように、危険箇所をNEXCO西日本や国土交通省・山口県・山口県警察本部などが提示し、事故多発地点を中心に根本的に線形を見直す案である。それをもって、山口JCT~下関ICまでの中国道は「E2山陽道」と名称を変更する

 具体的には、

 低コストかつ、他のA・B案と比べれば、追加投資の必要性がないものの、それまでの道路区画の見直しや、既存の道路に対して拡幅に伴う用地取得が別件で必要になる。旅行速度も第1種第2級の規格(時速100キロ)を満たしても、山口県警の裁量で時速80キロ規制を温存させる公算が大きく、劇的な時間短縮には期待できない。

長所:

留意点:


ムリして一から作り直す必要が無いため、山口県や国土交通省のヤル気次第では、この案も「有力候補」となる。まあ、どっちにしても「今の中国道で我慢しろ」で変わりない。

どれが正しいわけでもないからこそ、みんなで考えよう。

 以上3ルートを提示したが、これを山口県側に提示しても、多分、動じることはない。なぜなら現状で満足しているし、特段改築する必要もないと判断しているためである。これがもし、本気で改良するとなれば、当然、山口県側も負担を強いられるし、安直に防府~宇部新設を行って衰退化を招くようでは本末転倒である。

 しかし、だからといって今のままで我慢しろと言うのも問題である。毎年どこかで大事故が連発する高速道路を、単にドライバーと高速道路会社・国土交通省の責任だけにしても良いのだろうか。リスクゼロにするのは不可能でも、今よりかは事故を減らして、一方では山口県区間の高速道路をより快適に利用できるよう、今の道路行政を見直す考えは持つ必要があろう。

 今回は私なりに3パターンのルートを用意したが、必ずしもこれが答えではない。皆さんで「今の中国道をどう思うか?」と考えて戴くこととして、私は今以上に快適な「新山口以西」の高速道路整備に期待したい。 

[E2] 山陽道

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