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名阪国道有料化に関する意見
加筆修正 2019年10月28日
作成 2019年10月23日
名阪国道、奈良知事が異例の有料化要望 トラック流入で事故や渋滞多発
(毎日新聞大阪本社 2019年10月21日付)
私は名阪国道有料化(≒名阪高速化)には賛成。
基本的な考えとしては、
- Ωカーブの解消(トンネル化)
- 線形改良で時速80~100キロへの緩和・強化
- 線形改良に伴う事故の発生率を低下
- 事故が多いと分かっているのに、ムリして無料の名阪国道を通る(有料の新名神・名神を通るが故の「受益者負担の原則」が崩れている。
- 国土交通省直轄でも、奈良県・三重県も名阪国道の維持費を負担している。意外と知られていない話。
- 非名阪となっている国道25号旧道は、国道307号とトレードオフにする形で鞍替えし、二重規範を解消。
これらの諸問題を解決するには、名阪国道を有料化(NEXCO中日本・NEXCO西日本直営化)するのが手早い。
感情的になって「名阪国道が有料化したら、下道の経済が大打撃を受ける!」などの声もあるが、私は「事故の軽減による経済的打撃を解消するためにも、Ωカーブを廃止(直線化・トンネル化)・時速80~100キロへの技術的な規制緩和」を利用者負担で行うのであれば、別に有料化しても構わない。そもそも、無料の高速道路が出来るか、無料化したら「下道が大打撃を受ける!」という世論が強いのに、名阪国道だけ聖域化するのは(地域性にもよるが)筋が違う。
毎日新聞の報道を見る限りは、奈良県知事が適当にそう言ったようには見えないし、大阪の衛星都市と言えども人口減に悩まされている奈良県にしてみれば、道路の維持管理に多額の費用が求められる高速道路・自動車専用道路に対し、名阪国道まで面倒を見切れるかは微妙な所だろう。
今後、国土交通省・三重県と共に、名阪国道有料化に関する手続きを進めていく可能性が高い。有料化となった場合は、並行する非名阪の鞍替え作業(出来るだけ片側1車線が確保された道路への配置転換)なども踏まえ、国土交通省・奈良県・三重県・NEXCO西日本・NEXCO中日本は丁寧に説明する必要がある。無料自専道の適正交通量の確保・4車線化などを理由とした有料化は、県民世論を大きく揺るがす大変デリケートなところがある一方で、中長期的な道路整備・維持管理を進めていく上では、高速道路利用者が不利益にならないよう、出来るだけ一般道路とは区別して考える時代だと言える。
名阪国道有料化後の対応(案)
- 三重県側も有料化することを前提に、高速自動車国道へのネットワーク編入を進める。
- 東名阪道・西名阪道と合併し、「名阪高速道路」「名阪自動車道」といった路線名に切り替える。
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インターチェンジの数を大幅に減らし、国道25号・非名阪とは別の国道と接続している場所、かつ、合併前の自治体も含めて、名阪国道沿いの主要都市に集約させる。自治体要望がある場合には、スマートICも活用する。
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沿線にあるGS・道の駅への影響を少なくするため、新設インターチェンジそばにGSやコンビニを移転するための支援を国土交通省・奈良県・三重県が率先して行う。また、沿線にある道の駅は、通常のインターチェンジ、あるいはスマートICを併設したハイウェイオアシスへの切り替えを実施(本線直結型の場合は、当面、NEXCO以外の事業者が所轄し、契約更新時にNEXCOに引き渡す)。
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伊賀市付近でNEXCO中日本と西日本の境界を行い、両社ともに最低1カ所ずつSA・PAを建設。また、両者ともに現在の線形改良と快速化(時速80~100キロ改築)を行いつつ、NEXCO中日本は伊勢関IC付近の料金所を再編し、NEXCO西日本はΩカーブ解消のためのトンネル建設を重点的に行うこと。
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一般国道25号から「高速自動車国道 名古屋大阪線」に切り替え。これに伴って高速料金は「通常区間」と見なし、通常の高速料金に加え、通常区間限定の時間帯割引・多頻度割引を導入する。但し、激変緩和策として有料化から約2~3年間は、ETC・現金問わずに通行料金を約3割程度引き下げた価格を基準に運用。

名阪国道と非名阪の共存問題に関しては、国道25号のルートを上記のように見直せばよい。

三重県伊賀市付近でNEXCO中日本・西日本と区別。
速道あすか・そらかさんからのアドバイス

長年親しまれてきた名阪国道が有料化されることに対する抵抗感は、沿線自治体だけではなく他の全国のドライバーさんも同じ。しかしその一方で、近年は名神・新名神・国道1号改良といった並行路線が拡充されていることや、非名阪部分の段階的な快速化工事、相次ぐ激甚災害が多発して多額の税金投入が必要になるなど、10年~20年前と比べて随分と交通事情が変わって来ているのも事実。そことどう向き合うのか、という視点も大事だね。

名阪国道が開業した当時は、今みたいに満足に高速道路・バイパス道路が整備されていた訳ではなく、有料事業で運用するにはかなりムリのある話だったため、「準高速」として無料でというのは説明が出来ていた。でも、さすがに現在では割に合わないし、事故多発による経済損失を踏まえると、やはり「時代のアップデート」が必要ですよね。そうした部分も踏まえ、私は賛成。
名阪国道を詳細に取り上げている書籍のご紹介
- 国道の謎(松波成行/祥伝社新書)
- ふしぎな国道(佐藤健太郎/講談社現代新書)
- 名阪国道工事誌(建設省中部地方整備局 1967年)
- 三重県史 資料編 現代2(産業・経済)(三重県 1992年)
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